18 反出生主義

20190605 水曜日

 

 「社会に迷惑をかけぬよう」と、子どもを殺した父親がいるという。

 世の親は、世の親になりたいと願う人間たちは、どう思ってこの出来事を見ているんだろう?「自分の家族は大丈夫」「自分の子どもは引きこもっていない」「自分の家庭は健全だ」「自分の周りでは起き得ない話だ」と思っているんだろうか?だとしたらよっぽど他人の人生に無責任だ。他人というのは子どものことだが。

 絶対に子どもを幸せにできる確証なんかない。絶対に子どもが難病にかからない確証もなければ、絶対に子どもが引きこもりにならない確証もなければ、絶対に子どもが望ましい道を歩んでいける確率なんてほぼわずかじゃなかろうか。

 それなのに、なぜ出産に踏み切って他人の人生を強制的に開始させることができるのか。「そんなことを考えていたら子どもなんて産めないよ」と笑って言ってくる人がいたが、私は至極まじめだ。そんなことを、考えていないなら、産むな。と思う。

 ひとりひとりに回って聞きたい。「正しく育てられる自信があったんですか」「先行きの見えない日本社会で子どもを産むことは不安じゃなかったんですか」「あなたが産んだことでお子さんは人生で避けては通れない苦痛を経験しなければならなくなりましたが」と。