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20200415 水曜日

 

 仕事を休んでから、ちょうど5ヶ月ほどになる。おそらく来週か再来週にも復帰できるはずだ。

 仕事を休んでいる間、社会においても、仕事においても、自分の人生においても様々な変化があった。ゴーンがレバノンに脱出したり、イランとアメリカが一触即発になりかけたり、新型コロナウイルスによる疫病が蔓延したり。仕事では3年やっていた担務をようやく引き継げることになったらしい。自分の人生については、今年の院試を受けるべきか悩んでいる。年末に決めた人生設計は、コロナウイルスが招いた変化によって、不安が生じてきている。その一方で、この運命の大海原に身を投げてしまってはどうかとも思ったり、悩ましいのは依然として変わらない。

 

 というのはどうでもよくて、最近、自分で自分が食べるものを作ることにハマりかけている。最近作ったもので一番「これは」と思ったのはラグマンだ。中央アジアのうどんとの別称があり、エキゾチックな香辛料の香りと、牛肉やラム肉のオイリーで濃厚な風味が特徴。はじめて食べたのはトルクメニスタンだったはずで、「こんなに美味しい麺類があるとは」と驚いたのを覚えている。そして、ウズベキスタンサマルカンドキルギスビシュケク、中国の西安でもラグマンを食べた。たしか、トルクメニスタンではスープが多い「うどん」に近いラグマンで、ウズベキスタンキルギスではスープはあまり多くなお「油そば」に近いラグマンだったと記憶している。西安ではラグマンじゃなくて、ビャンビャン麺みたいな名前だったかもしれない。ムスリムもたくさん暮らしている街で、ムスリムの人も安心して食べられるみたいな店だったと思う。

 このたび自分で作ってみたのは、スープたっぷりのラグマン。チリパウダー、クミンパウダー、コリアンダーパウダーをそれぞれ小さじ1でも十分香りがよくてびっくりした。牛肉が塊じゃなくてバラ肉だったり、麺をうどんで妥協したために柔らかすぎて、現地に近づけるにはあと一歩だったが、家で中央アジアの食卓を再現できたのはこの上ない喜びだった。スープたっぷりよりも、油そばっぽいラグマンのほうが好きなので、レシピを改良させながら記憶の味に近づけたいと思っている。

 これまで旅したなかでも、中央アジアは最も好きな場所だった。特にキルギスは最高だった。首都のビシュケクは清潔で、ソ連っぽさが残存していた。せっかくここまで来たんだしと、プライベートツアーを組んでもらって、ロシア系キルギス人のおばさん・カテリーナさん運転の車でいろんなところにいった。アラ・アルチャ自然公園、イシク・クル湖、トクマクという歴史的な街(カラ=ハン帝国時代の建築物があった)...シルクロードのど真ん中にあるような国だから、そりゃいろいろあるはずなのだけど、世界史で習ったものが目の前に存在しているのは感動もひとしお。あと、とにかくご飯がおいしかった。ラグマンやチュチヴァラ(ワンタンスープみたいなやつ)などなど。メニューを全部撮影しておけばよかった。

 ご飯がおいしかったな〜と今思い出してもうっとりするのは、ポーランドキルギスジョージアクロアチア。ロシア料理は言わずもがな大好きだし、ワルシャワ条約機構軍フォーエバーということで、また東側に渡航できるよう、早期にコロナ禍が収束してほしいと切に望んでいます。